待ちに待った規制解除
2月1日からロンバルディア州もイエローゾーンになりました。レッド→オレンジ→イエローの道のりはとても長かった。
とは言っても毎日発表される新規陽性者の数は、相変わらずイタリア国内ではトップクラスであり、特に最近はミラノから100キロほど離れたブレーシャ県での感染が止まらない。2月7日のデータでは、ミラノ市の人口130万人で新規陽性者が140人程度でありながら、同じくらいの人口であるブレーシャ県全体での新規陽性者は430人。理由は現在の5人に1人がイギリス変異株による陽性者であることが判明、感染力の強さを物語っています。
では何故、新規陽性者数が多いロンバルディア州が規制解除できたかというと、そこで登場するのが実効再生産数。7日の時点で0.94。ということは、たとえ新規陽性者の数が多くとも数値が1以下であるのは「感染拡大」はしていないと判断されました。
ロンバルディア州の人口1000万人で、毎日2~3万人ほど検査をして、陽性率は5%程度がここ最近続いている状態です。
2月1日から規制解除なのにも関わらず、その前日の1月31日からすでにお祭り状態で、16時半の段階でドゥオーモ広場は、ここまで密になっていました。これがイカン!というのが何故わからないのか?
ちなみにイタリア各地の同日、同時刻の様子を見てみると、
ヴェネツィア、サンマルコ広場
フィレンツェ、シニョーリア広場
ローマ、スペイン広場
他の都市は優秀ですよね。色んな意味でミラノは感染都市になってしまった理由もわかる気がしました。自業自得かな…。
イタリア全体の感染状況
イタリア全体の感染状況は、11月をピークに落ち着いてきた気がします。
〇新規陽性者の推移
〇現在の陽性者の推移
〇死者数の推移
年末年始に多少の増加が見られたのは何となくわかる気がしますが、11月のピークはいったい何だったのでしょうか?その直前の10月後半に何があったのか?
イギリス変異株の騒ぎが12月から始まりましたけど、実は11月に蔓延してたりして。そもそも2020年の1月にコロナ騒ぎが起こっても、イタリアに2019年の9月から存在していたという「前科」がありますからね。
いずれにせよ、ワクチン接種の増加に反比例し、感染が減少していくのが望ましいです。
イタリア国内のワクチン状況
さて、6日のロイターのニュースによると、イタリア政府当局者は5日、国内の新型コロナウイルスワクチン接種状況について、供給量が確定されれば、3月末までに700万人に対する2回目の接種を終えられるとの見通しを示しました。
政府の特別対策官、ドメニコ・アルクリ氏によると、イタリアは6日に初めて英アストラゼネカ製ワクチンの供給を受けます。初回供給は、24万9600回分で55歳以下を対象に来週接種を開始し、同時に米ファイザー製と米モデルナ製ワクチンの接種も継続。
「これまでに約100万人が2回の接種を終えた」と述べました。
現在、ワクチン接種は各州ごとに接種スピードが異なり、イタリアでは一番被害の多いロンバルディア州が優先的に進められています(下図:色の濃い州がワクチン接種の多い州)
現在、第1グループのワクチン接種が医療従事者と病院のスタッフと介護スタッフ、養護施設や高齢者施設の入居者とスタッフ、80歳以上が対象者となっています。
年齢別に見ると50~59歳の対象者が最も多く、それぞれほぼ2度目の接種も終わっています。(下図:1回目=薄い青、2回目=濃い青)
性別で見ると女性の方が多く、医療施設のほか介護施設、養護施設など女性の働く場所が対象となっています(下図:青=男性、ピンク=女性)。
下図はワクチン接種者のカテゴリーと年齢分布を示したもの。左から、青:医療従事者、ピンク:医療以外の施設スタッフ、グレー:施設の入居者、緑:80歳以上と色分けしています。
12月の終わりからワクチン接種が始まり、3週間後に2回目の接種。これもほぼ終了。
供給されるワクチンは大部分がファイザー社、2月になってモデルナ社も増えてきた。
第1グループでは、まだ人口の5%の接種率であるが、その後は加速度的に上昇。
仮に第1グループが早めに終了した場合、第2グループが前倒しになる可能性もあります。
また、予定では重症となるリスクの高い人、免疫不全、基礎疾患、虚弱、60歳以上、学校関係者と教師などが、接種対象者でしたが、たとえば感染リスクの高いタクシー運転手など、社会を回すために必要な職種も検討しています。
このように、イタリア国内で発表されるワクチン接種の数値を見る限り、少しずつ明るい希望が見えてくるような気がします。
(ミラノ 川倉靖史)