2020/10/04

ブルゴーニュ地方の収穫/美食の秋と修道士のチーズ

ブログを読んでくださっている皆様、こんにちは。

夏のヴァカンスも終わり、ワイン造りで9月はあっという間に過ぎました。現在のブルゴーニュ地方は、ブドウ畑の黄葉がうっすらと始まり、もう朝晩は気温10℃を切っているので暖房をつけたいくらいです。これから秋が深まっていきますが、この美しい季節が少しでも長く続いてくれると良いなと思っています。

報道でもご覧になっているかと思いますが、フランス国内の状況は少し後退しています。南仏方面では、10人以上の集まりが禁止になったり、スポーツ施設が休業措置となった地域もあるようです。

コロナ後のご旅行に向けて、少しでもアイデアを膨らませていただければと思いますので、このブログもしばらく続けることになりそうですが、今回もどうぞよろしくお願いします。

2020年の収穫【ドメーヌ・ミッシェル・グロ】

ジュヴレ・シャンベルタン、ヴォーヌ・ロマネ。どちらも赤ワインに特化して生産する村ですが、ブルゴーニュワインのファンであれば、一度は訪れてみたい憧れの地ではないでしょうか。現地では8月末からスタートした収穫・醸造が一段落したばかりですが、今回は両村からレポートしたいと思います。

暖冬から始まった2020年、ブドウ樹の成長はすくすくと順調でした。ただ、3月中旬から5月中旬までの約2ヶ月間のロックダウンだけが、いつもの年とはまったく違う心配事をもたらし、歴史に残るであろう特別なヴィンテージとなりました。

【ミッシェル・グロ】も、そんなドメーヌのひとつ。ヴォーヌ・ロマネ村で1830年より7代にわたってワイン造りを営む名家で、現当主のミッシェル氏から長男のピエール氏に、2年前からノウハウを引き継いでいるところです。

収穫隊の取りまとめ役を担うピエール氏には、外出自粛中の5月に、書面でインタビューをしたことがありました。

「2020年は誰にとっても試練の年」と、彼は真っ先に述べました。毎年来てくれる常連の人たちは、年配だったり遠方からだったりするので、人材集めに苦労するのではないか。賄いの食事はどのように提供できるか。泊まり込みの人たちの寝床は・・・。(現在では宿舎を用意できるドメーヌは減り、古き良き伝統は失われつつあります。)

社会的な困難とは関係なく、ブドウは育ってしまうので、自分にとっては試練とチャレンジのヴィンテージ、ワイン業界に多くの変化が起きるであろう新しい10年間の始まりなのだと、ピエール氏は冷静に分析していました。

その後どう対策を立てたのか気になり、約2週間にわたって泊まり込みで参加した友人(@ワタルさん)に、状況をレポートしてもらいました。

収穫前夜の8月28日夕方、チームの顔合わせとアペリティフがありました。これから寝食を共にする仲間たちです。さっそく送ってもらった写真では、広々した部屋に4-5台ほどのベッドが並び、さながら合宿所。メンバーの国籍は、フランス人が半分、スイス人2人、ベルギー人はやや多め、ドイツからの2人は30年も通っている強者で、総勢35人から40人程度。

訊くと、初めて来たのはワタルさんともう1人だけで、あとは全員が常連の顔見知りだったとか。これはとても良いドメーヌの証です。収穫人が受け取る報酬は、労働局が定める最低賃金で_時給_10ユーロ強ですが、きっとプラスアルファがあるに違いありません。チームの雰囲気が良いとか、賄いの食事に愛情がこもっていて美味しいとか、ワインやビールをたくさん出してくれる。そして帰りにワインのお持たせでもあれば、誰でも来年また来たくなるものです。私もそれを知っていたので、大切な友人にはここを紹介したのでした。

ドメーヌ側にとっては、毎年同じメンバーが集まってくれれば、一から仕事を教える必要もありませんし、何よりも信頼をおくことができます。初めての人にはよく、「自分で口に入れたくないと思うブドウは切らないで」とシンプルに教えられますが、彼らが本当に健全な実だけを選んで切ってくれれば、それがワインの味わいにも大きく影響を及ぼすのです。

 

実際に、醸造所を覗きに行ってあれ?と驚いたことは、「選果台」と呼ばれるベルトコンベアーが置いていないのです。(醸造所の片隅にいちおうベルトコンベアーはありますが、2020年には使用しませんでした。)運搬してきたブドウをザッと空けると、わずか2メートルほどの短い「振動式プレ選果台」で、土や昆虫や葉っぱをふるいに掛けて落としているだけです。そこに立つのはピエール氏ひとりだけ。ここが最も重要なポストで、タンクに入っていく果実の最終チェックを行っています。

「いちおう目配りはしているけど、何も取り除くものはないですよ」と笑う、ピエール氏。今年は乾燥した夏のおかげで、灰色カビ病などの腐敗果は発生せず、少し干しブドウのようにカラカラになったものが、振るい落とされて溜まっているだけです。畑チームが良い仕事をすれば、醸造チームの仕事はひと手間省けて、信頼・安心してワイン造りに取り組めるのですね。

結果として、5日稼働で1日休み、また2日だけ働いて3日休み、最後に1日半のフィニッシュと、変則的なスケジュールとなりました。これもブドウの完熟具合を最優先しての選択と、それでも忠実に待っていてくれるお馴染みさん達とのコラボの結果。(じつはそれ以外にも、ファミリーだけで小じんまりと収穫した畑もありました。)皆がとても楽しみにしているポレ(打ち上げ)は、中間と最後の2度あったようです。

どんな料理やワインが振る舞われるのか、ご興味ありませんか?ドメーヌ・ミッシェル・グロでは、プロのシェフとアシスタントの女性が二人三脚で、毎日のランチとディナー(夕食を提供するドメーヌも、今となっては珍しいです)に腕を奮いました。前菜には田舎風テリーヌやパテ、メインにはローストチキン、豚肉や子牛肉の煮込み、ジャガイモのグラタンなどの副菜、フランスではポピュラーなクスクスも見えますね。そしてデザートも手抜きしません。重労働の収穫隊を支えてきた、毎日いただいても飽きない家庭料理、写真でいくつかご紹介します。(撮影@ワタルさん)

こうして見ると、オート・コート・ド・ニュイ「フォンテーヌ・サン・マルタン」の白を初め、同じくオート・コート・ド・ニュイ「オ・ヴァロン」の赤、一級畑の「クロ・デ・レア」2011年と2008年、「ニュイ・サン・ジョルジュ一級」2012年、2010年、2004年など、通常ならお客様に販売されるべきものが、惜しみなく振る舞われています。ミッシェル氏と一緒にいただくワインは、ワインファンとしては本当に羨ましいですね。

クレマン・ド・ブルゴーニュ(地元の発泡酒)、アルボワ(ジュラ地方)、クローズ・エルミタージュ(ローヌ地方)なども写っています。家族旅行で訪ねて行ったのか、お友達のドメーヌと物々交換したのか、ブルゴーニュ以外の彼らの好みもチラリと見える、面白い場面のひとつです。

長丁場の作業を終えて、すっかりグロ・ファミリーに溶け込んだワタルさんの話では、畑チームは5台のミニバンに分乗して(これも例年と違って自由席ではないのが今年の特徴でした)、ミッシェル氏の指揮の下、好天と涼しい秋風に恵まれて順調に作業を進めました。

30~40年も通っているベテランが多い中、彼は周りのペースに合わせるよう気を付けたそうですが、メンバーは遅れがちな列があれば手伝い、余裕の笑顔で和気藹々とした雰囲気づくりも忘れず、チームとしての強い結束力を感じたそうです。夕食のテーブルは、いちおう赤いテープで1人ずつスペースが仕切ってありますが、歌声がやまない宴は、毎晩22時を回っても続いていたそうです。同室だった大学の醸造学部の研修生とも仲良くなり、また来年もこのドメーヌに戻ってきます、と心強いコメントに心から安堵しました。

ワイン造りの苦労にも触れられる機会、ぜひ収穫に参加してみたいというご要望は、毎年お客様からいただきます。旅行でお越しになる方は、フランスの労働許可をお持ちでないため、残念ながら2週間も泊まり込みで働くことはできません。

ですが、「収穫体験ツアー」と称して、参加者の皆様から代金をいただいて催行されるツアーはあります。私が知るかぎり、ブルゴーニュ地方では1件、シャンパーニュ地方では観光局主催のツアーや中規模メゾン、またアルザス地方でも個人農家が2件ほど、こういったアクティビティを提供しています。

午前中の涼しいうちに、実際にハサミを握っていただいて収穫体験。心地よく疲れたところで、お昼からアペリティフとランチ。収穫隊の皆さんと同じように、ワイワイと長テーブルを囲んで大皿料理で賑やかにいただきます。午後は、本職の収穫隊はもちろん労働ですが、ツアー参加者はカーヴ見学や、当主からワイン造りの話を聞いたりできる、1日たっぷりな内容のツアーです。

ご興味のあるお客様は、ぜひ「Tutta Italia」さんまで、日にちに余裕を持ってお問い合わせください。

2020年の収穫【ドメーヌ・ルネ&フランソワ・ルクレール】

次は、ジュヴレ・シャンベルタン村で、日本人マダムが活躍しているワイナリーです。収穫中に見学してきましたので、作業の様子も混じえてお見せします。

【ルネ&フランソワ・ルクレール】は1896年創業。83歳のルネ氏はリタイアライフを楽しまれており、4代目のフランソワ氏が栽培・醸造を担当、2人の姉妹と、奥様の恭子さんがそれを支えています。(撮影@マダム恭子さん)

80年代から日本、アメリカなどへも先駆けて輸出しており、柔らかく優しい味わいのピノ・ノワールは、日本のワインファンにも既にお馴染みです。フランスのミッテラン大統領が訪米の際は、レーガン大統領との晩餐会で供されたという伝統と歴史も持っていますが、フランソワ氏が参画してからは新旧融合が進められ、2003年より自身のラベルでのワイン造りも同時に行っています。

さて話は2020年。今年は9月3日から9日までの7日間で行われました。所有畑は10ヘクタールで、全ての区画がジュヴレ・シャンベルタン村にあります。メンバーの安全策について悩んだ挙句、マダム恭子さんが選んだ方法は、「朝7時から始めて14時に終了、個別包装のランチパックを屋外で提供する」ことでした。さっそく写真でご覧ください。(撮影@マダム恭子さん)

色々なものを少しずつ。フランスらしく、前菜からデザートまで詰め込まれたランチパックです。黒い紙製のパックには、パスタサラダとラタトゥイユ。ハム&チーズのバゲットサンドは、個別に紙袋で包みます。そしてリサイクルビニール袋には、日によってゆで卵、チーズ、ヨーグルト、板チョコ、焼き菓子やフルーツなどの甘い物が入ります。

もちろん皆さんが飽きないように、サンドイッチの中身は、鴨のムースパテ&ピクルスなど日替わりです。お米のサラダも冷んやりと美味しそう。トマト、きゅうり、ツナ、紫玉ねぎ、卵などをフレンチヴィネガーで味付けした、フランス家庭料理の夏の定番です。

30人の胃袋をあずかる台所は、シェフのニコラ氏とマダム恭子さんが担当しました。ニコラ氏は、ディジョンで自身のレストランを7年間ほど切り盛りした後は、フランスの他の地方やイギリスに住みながら、料理を教えたり、今回のような仕事をされてきたそうです。おふくろの味ならぬオヤジの味で、毎日皆さんの疲れを癒してくれたことでしょう。

敷地の片隅にテントがいくつか張られていました。夏の終わりで屋外も寒くないため、主にイタリアからの若者たちは、野宿を楽しんでいるそうです。別棟のシャワールームとキッチンは自由に使えるように開放しているそうで、毎日14時に上がった後は、ビールを飲んだり、ギター演奏に合わせて歌ったり。私が訪れた午後も、お風呂上がりの若者たちが寛いでいるところでした。

ポレ(La Paulée)といって、打ち上げのときの料理です。毎日ありがたいことに良い天気に恵まれ、広々とした裏庭にテーブルを並べて、ビュッフェ形式でワインを楽しんだそうです。

ともあれ収穫隊の皆さん、1週間お疲れさまでした。コロナ禍でのヴァンダンジュという初めての経験。全員が事前にPCR検査を受け、4日以内の検査結果を持って集まったそう。マダム恭子さんから毎日届いたメッセージからは、賑やかで楽しい中でも、やはり気を引き締めて日々を過ごしているのが伝わってきました。無事に終了してホッとされていることでしょう。

今年は果皮から出てくる色合いがいいんだ、とフランソワ氏。ここでも短い選果台が置かれ、腐敗果は見られないものの、わずかに混入している葉っぱなどを取り除いているところでした。いくら選果が楽なヴィンテージといっても、フランソワ氏の表情は、今まで見たこともないくらい真剣そのもの。

【ルネ&フランソワ・ルクレール】では、事前予約でマダム恭子さんの都合と合えば、好意的に醸造作業も見せてくださいます。醸造所の裏手にあるブドウ畑は、ドメーヌが造るジュヴレ・シャンベルタン村名の畑。石塀の向こうに広がる丘陵には、ルクレール家もいくつか所有するプルミエクリュのブドウ畑が広がっています。時折、ドメーヌで飼われている3匹の猫たちがニャ~とお出迎え。もちろん、その日の天気とご機嫌によります。(笑)

醸造所内は、ステンレスタンクではなく、ホウロウで内部コーティングした古いタイプのタンクが並んでいます。ブドウの醗酵後に使用する圧搾機(プレス機)も、何十年も大切に使っているもの。骨董品に見えますがしっかり稼働していますし、こちらのタイプのほうが優しく搾ることができて、フランソワ氏はむしろ気に入っているのだそうです。

地下カーヴはかなり広い印象ですが、毎年約100樽が並ぶそうです。新樽を使わない熟成が特徴で、これも柔らかいタンニンと果実味を引き立たせるための、フランソワ氏ならではのレシピのようなもの。暗闇に案内されて歩を進めると、ボトルの山、山、山・・・70年代から90年代にかけての古いワインの宝庫です。基本的に販売はしませんが、良さそうなものがあれば、お楽しみとして試飲の締めくくりに供出されます。

地上に戻って試飲ルームへ。白いラベルが2003年設立のフランソワ氏個人のドメーヌのワイン。濃紅色のラベルは、畑の所有者は家族全員となっているものの、フランソワ氏が栽培・醸造を手がけているものです。「ブルゴーニュ・ルージュ」から始まり、「ジュヴレ・シャンベルタン村名」、同じく村名の「クロ・プリウール」、一級畑は色々ありますが「コルヴォー」「コンブ・オ・モワンヌ」「ラヴォー・サン・ジャック」などを順番に味わうことができます。

試飲していただいたワインの他にも、少量生産のグランクリュ「グリオット・シャンベルタン」や、熟成した古酒の購入なども相談に乗ってくださいます。

ご興味のあるお客様は、オーダーメイドのワイナリーツアーの予定に組み込み、私自身の運転でお連れします。また、フランスへの渡航はすぐには難しいというお客様も、ドメーヌ直送のワインをご注文いただき、パリ・ヤマト運輸を使ってお届けすることが可能です。どうぞ日程に余裕を持って、「Tutta Italia」さんまでお問い合わせください。

美食の秋と修道士のチーズ【アベイ・ド・シトー】

さて話題は変わりますが、良質なワインと切っても切れない関係にあるのがチーズ。世界一のチーズ消費国であるフランスでは、年間1人あたり28kgものチーズが消費され、450以上もの種類があると言われています。ブルゴーニュ地方では、牛の乳から作られる「エポワス」「ラングル」、山羊乳の「シャロレ」「マコネ」などがよく知られています。中でもシトー派修道院のチーズ「アベイ・ド・シトー」は、地元でも一目置かれて尊敬さえも集める存在です。

こちらがそのチーズ。修道院の敷地内で飼育している牛の乳から作られ、700gあるのでズッシリと重みを感じます。表面を繰り返し塩水で洗いながら20日間以上の熟成を経ており、うっすらとベージュ色がかった外皮が特徴です。中身は溶ろけない程度にクリーミーで、よくサヴォワ地方の「ルブロション」とも比較されます。

私事ですが、地元のレストランでソムリエをしていた頃、うちの店も仕入れていました。夏になると修道院からファックスが届き、「毎日お暑いですね。牛たちも参っており、お乳の生産能力が落ちているため、チーズの納入は週あたり1つだけに限定させていただきます。」と微笑ましい文面を拝見していました。どのように作っているのだろうとふと思い立ち、久しぶりに足を運びました。

フロマージュリー(チーズ工房)の見学は受け入れていませんが、ロビーの常設展で、日々のお務めの様子を伺い知ることができます。1098年の創立時より「贅沢を慎み、よく祈り、よく働く」ことを守り続けており、朝4時のお祈りから始まって日に7回の礼拝があります。チーズ工房での作業は、日曜日を除く毎日14時45分から行われているとの展示があります。

受付の方のお話では、250ヘクタールの敷地を所有しており、うち30ヘクタールは森林(ここから切り出される木材はワイン樽の製造に使用されます)、110ヘクタールは牧草地、110ヘクタールは穀物の栽培を行っているそう。受付までの散策道そばに牛たちが戯れている日もありますが、モンベリヤール種が250頭(うち乳牛は100頭)飼育されており、テルミゼ乳(低温殺菌乳、生乳と高温殺菌乳の中間にあたるもの)から、週あたり2500~3000個のチーズが生産されています。

日々の作業にあたっているのは、現在15名いる修道士たち。チーズの製造・販売が修道院のおもな収入源となっています。近年では、工房内に祈りのためのスペースが設けられ、労働時間中にも礼拝を妨げない工夫がされているそう。受付の方が教えてくださったことは「ゼロ・マーケティング」。あくまで製造だけに集中し、販路を拡げたり宣伝したりといった活動は行わないということです。

修道院のラベルがついたチーズは各地にありますが、実際には外部のチーズ業者が請け負っており、独立採算で修道士たち自身が製造しているのは、フランス全国を見回しても「アベイ・ド・シトー」だけとのことです。祈りと労働の精神を900年前から実直に継承している点が、注目と尊敬を集め、また生産量が少なく入手困難なことから、世界中にもよく知られたチーズとなりました。

最盛期の15世紀には350名が在籍、現在グランクリュとなっている「クロ・ド・ヴージョ」の広大な50.5ヘクタールあまりのブドウ畑を所有し、多くの見学客が訪れる「シャトー」は彼らの醸造所でした。フランス革命によってワイン造りから追われた修道院は、2度の大戦の間には30名まで盛り返したものの、現在はわずか15名となり、高齢化が進みつつあります。

帰り際に売店を訪れると、大抵はかなり高齢の修道士さんが店番に立っています。チーズはもちろんのこと、ハチミツ味のキャンディー、パン・デピス、ジャムやハーブティなどをお土産に購入することができます。

修道院内の見学は、毎年4月下旬から11月1日までの期間中に可能です。あいにく自由見学はなく、フランス語のガイドツアーのみで、混み合う日も多いため事前予約をお勧めします。宗教や歴史の話が多くかなり難しいため、ご希望のお客様には、私自身が通訳・ご説明のために同行します。ぜひ「Tutta Italia」さんまでお問い合わせください。

シトー派修道院は、1098年にロベール・ド・モレスムによって創立されました。当時「クリュニー修道院」が最大の勢力と栄華を誇っていましたが、そこから独立した数名の修道士たちによって「贅沢を慎み、よく祈り、よく働く」といった教義を掲げて、シトー派が生まれました。森林と葦の茂る沼地しかなかったこの地に、河川の流れをうまく利用した建築が行われました。

訪問時には、広大な芝生に覆われた敷地内を歩きながら、いちばんの見どころである薔薇色の石造りの回廊、図書室、とても小さな写経室、礼拝堂、修道士たちの居所などを案内してもらいます。

創立から15年後には、ブルゴーニュ地方で最も功績を残した修道士として知られる「聖ベルナール」が、叔父や兄弟たちと共に出家して加わり、この地でしばしの期間を過ごしました。その後の聖ベルナールは、ユネスコ世界遺産となった「フォントネー修道院」の創立に関わり、シャンパーニュ地方南部にある「クレルヴォー修道院」で一生を閉じました。慎み深いシトー派の教えは、現在では世界各国に178箇所の修道院を数えるまでになっています。

【シトー派修道院の訪問】
フランス語のガイドツアーのみ
ローシーズン=夏休み期間を除く4月下旬~9月下旬/10時30分~16時30分の間に5回/日曜午前・月・火曜休
ハイシーズン=7~8月の夏休み期間/10時30分~17時の間に6回/日曜午前・月曜休
万聖節のバカンス=10月中旬~11月1日/14時30分~16時30分までの3回/月曜休
11月2日~4月下旬まで閉館
大人8ユーロ/学生5,50ユーロ/12歳以下無料

【売店】
通年営業/火~土曜10時~12時30分、14時30分~18時30分(11~5月は18時まで)/日曜午前・月曜休

(花田砂丘子/ブルゴーニュ)