ブログを読んでくださっている皆様、こんにちは。
ブルゴーニュ地方からの2回目は、本格的な夏がやって来たディジョンの風景をいくつかご紹介します。
それから、皆様がご旅行に際して一番心配されるであろう、公共交通機関の利用について、7月初旬時点での状況をお伝えしたいと思います。
ディジョン市内散策、7月初旬のある日
ブルゴーニュ観光の玄関口であるディジョンは、人口約17万人の大学都市で、中世の歴史や建築がいっぱいの街並みです。
私たち周辺地区の住民も、ショッピングやレストランといえば中心街に出てきますが、私自身は個人的には4ヶ月ぶりでした。
「アフターコロナの新しい生活習慣」を念頭におきながら、ブラブラ歩いて撮ってみた写真です。
小さな凱旋門は通称「ダルシー門」、ディジョン出身の彫刻家フランソワ・リュードの作で、パリの凱旋門と同じ作者です。
アール・ヌーヴォー様式の洋館は、左がディジョン中央郵便局、右は一般の住居用マンションとして利用されています。
このグランジェ広場に、20世紀初めのルイ・ペローという建築家が、雰囲気の異なる2棟をデザインしたものです。
そしてもうひとつの名所、大公宮殿前の「リベラシオン広場」には、多数のカフェやブラッセリーが軒を連ねます。
こうしてレストランやカフェの店先だけを撮影してみると、テラス席は意外とお客さんが入っている印象を受けます。
季節柄もあり、きっと室内席は空いていると思いますが、各店舗の入口にしっかりと消毒用ジェルのスタンドが設置されています。
店員さんは、もちろんマスクや防護カバーをつけてサービスをしていますので、若干の違和感はあります。
ただ、各自がこまめに消毒を行い、換気をしっかりしている店を選んで入れば、感染リスクは考えられないように思われました。
その点、夏の間は心配が少ないのですが、テラス席がなくなる冬にはどうなっているのだろうとも思いました。
この日は、マルシェ(朝市)の日でした。(ディジョン中心部のレ・アルは、火・木・金・土曜の週4回開催)
外周を取り囲むテントは、以前のような賑わいを取り戻していましたが、建物内はだいぶ人が少ないような気がします。
もちろん、お客さんも店員さんもマスク着用が常識となり、しっかりとディスタンスを守って並んでいるのは大きな変化です。
それからフランスでは、断りなしに商品にベタベタと触るのは元から嫌われますが、それがさらに助長された気がします。
ちなみに、このマルシェの建物「レ・アル」も有名な建築家の設計で、ギュスターヴ・エッフェル、そのあのエッフェルです。
陽射しは強いですが、久しぶりの散策は気持ちが良く、13世紀建築の傑作、ノートルダム教会まで歩いてきました。
そういえば、自粛期間中は宗教施設も封鎖され、自由にお詣りやミサに参加できるようになったのは、6月になってからです。
正面ファサードの奇妙な「ガーゴイル」の彫刻を見上げてから、左手の小さな路地「シュエット通り」を入ってみてください。
いつもなら教会側面の壁にある彫刻「フクロウの像」が、人だかりを集めている場所ですが、今日は人っ子ひとりいません。
右手に貴金属を握り、心臓とつながっている左手で、やさしくフクロウを撫でると幸運が訪れる、という街の守り神です。
初めてだとつい見逃してしまいますが、左のフェンスのすぐ横、頭上の高さに、撫でられすぎてツルツルのフクロウがいます。
しばらくフクロウの前で佇んでいると、通りかかる人はポロポロといますが、誰ひとり触っていく様子はありません。
フクロウさんも寂しそうです・・・いつになったら以前のような生活が戻って来るのでしょうか。
パリ~ディジョン間の公共交通機関、TGVとメトロ(6月下旬の状況)
100kmを超える外出制限が解除された際、すべての公共交通機関で「マスク着用」が義務となりました。
今後、ご旅行でお越しになるお客様も、駅構内や車内がどのような様子なのか、気になる方がとても多いと思います。
私自身の体験ではありませんが、パリに所用で出かけた友人(@fumiさん)に写真を撮ってきてもらいました。
6月末も近くなったある平日、ディジョンからパリへの日帰り往復の行程で、乗車時間は片道1時間35分です。
TGVは元から全席予約制ですが、チケット販売数を減らして、車内の混雑をコントロールしているそうです。
写真は2等車で、かなり空いている印象を受けますが、隣り合わせや向かい合わせにしない工夫がされていますね。
駅構内には消毒用ジェルが置いてあるのかと思っていましたが、これは見当たらなかったそうです。
ウェット消毒ティッシュや、携帯用ジェルを常に持ち歩いたほうが、安心できそうですね。
その代わりにパリ・リヨン駅では、マスク着用のアナウンスが頻繁にあり、守らない人に係員が注意する場面もあったそうです。
パリに到着したのは、朝9時台の通勤時間帯。
パリ・リヨン駅からメトロ14番線での移動は、乗車制限をしていないため、驚くことに以前と変わらない混雑ぶりだったそう。
座席には「着席しないでくださいね」のロゴ表示があるものの、安全とされる距離があまり保たれていない印象だったとのこと。
写真は、メトロ車内の午後の様子です。
座席や床面のマークを見ると、理想とされるフィジカル・ディスタンスは、かなり離れているのだなぁと改めて気がつきます。
また、電車内でマスクを外す人はさすがにいないものの、駅のホームでホッと一息の人もチラホラといたそう。
パリ市内のバス・メトロでは、混雑する時間帯の利用を避け、できるだけ外の空気を吸いながら歩いて廻るのが安全策と言えそうです。
ちなみに、パリ・リヨン駅構内にある有名なブラッセリー「トラン・ブルー」は開店していません。
サンドイッチを販売するスタンドや、TABAC、キオスクなどの売店だけは、必要最低限で営業しているようです。
7月1日よりフランス側の国境規制解除、日本からの空の便は
7月1日の規制解除で、日本からフランスに到着されたお客様に関しては、14日間の隔離なしに入国できるようになりました。
夏のヴァカンスシーズンに向けて、経済活動再開を急ぎたいマクロン大統領と、慎重派のフィリップ首相の間に確執がある・・・などと、日本の新聞では報じられているようです。
実際には、エドワード・フィリップ氏は6月末の統一地方選で、ブルターニュの地方都市の市長に選ばれたため、今回の辞任となったようです。
ともあれ、すぐに渡航客が増えるわけではなく、7月初旬の時点で、日本入国時のPCR検査や14日間の自己隔離が求められる状況は変わっていません。
この時期、ちょうど親しい友人(@とある旅人さん)がフランスから日本へ飛行しましたので、どんな様子だったのかをレポートしてもらいました。
【フランス・リヨン空港より出発】
予定されていたターミナル1は閉鎖中で、すべての乗客がターミナル2へ。
全日空・ルフトハンザ提携便が、かなり頑張って運行本数を確保していますが、チェックインカウンターは一番奥の離れた場所です。
写真から見ても、ターミナル内は空いている印象で、キヨスク(売店)が1軒だけ営業していたということです。
待ち時間のロビーやセキュリティ検査の列などは、しっかりとディスタンスが取られていますが、係員が少なく、時間がかかったそうです。
【ドイツ・フランクフルト空港にてトランジット】
到着ロビーは、EU圏内からの国内線が通常ダイヤを取り戻しつつあるため、いつもとあまり変わらない混雑ぶりでした。
ルフトハンザ航空の係員の話では、6月30日を境に、子連れのファミリーが急に増えたそうです。
ここでEUからの出国審査と、別ターミナルへの徒歩移動がありますが、その通路はいつもと同様に閑散としています。
羽田便への搭乗ゲートに到着すると、ロビーの座席シートが半分しか使えないため、若干混んでいる感じがしたそうです。
【フランクフルト発、羽田行きルフトハンザ航空機内】
写真からは、かなり着席率が高いように見受けられますが、殆ど満席に近い感覚だったそうです。
機内では、もちろん終始マスクを着用、幸いなことに機内食のサービスは、ほぼいつも通りの質を保っているように見えますね。
【羽田空港に到着】
7月の時点では、海外からの到着客はPCR検査を受けることになっており、和食のお弁当とお茶が配布されたそうです。
少なからずいた外国人乗客は、日本らしい優しい心遣いに大喜びだったそうで、それは海外から帰ってきた日本人も同じです。
降りたゲートでそのまま検査結果を待ちますが、日や時間帯によって、6時間~半日近い待機となるようです。
幸い「陰性」の証明書を受け取った時には、荷物がカートに載せてあり、全日空から手書きのメッセージが添えられていたそうです。
日本人らしい温かいおもてなしの心は、こんな非常時にはホロッと感動しますし、私も日本人の1人として誇らしく思います。
写真を見せてもらいながら友人の話を聞いて、正直なところ、ファミリー旅行は今すぐは厳しいのかなという感想を持ちました。
空港内や航空機内が、想像していたよりも混雑していることに驚いたからです。
秋の旅行シーズンに、感染拡大が落ち着いていたとしても、やはりマスクと消毒液の携帯は必須だなという気がしています。
ひとつお勧めできるのは、今回の友人のように、欧州のどこかでトランジットをして、リヨン空港からフランス入りしていただくのは良いかと思います。
リヨン空港からブルゴーニュ地方のボーヌやディジョンまでは、車で2時間弱ですので、私も里帰りのときはいつもそうしています。
また、Tutta Italiaさんのお客様が2ヶ国に滞在される場合は、イタリア各都市からリヨン空港へ飛んでいただいたほうが近いです。
パリ市内の人混みや交通渋滞を避けて、地方都市や田舎を主に訪れたいというお客様には、有効な選択肢のひとつとなるはずです。
ドメーヌ訪問、国内のお客様が戻ってきました
このところ、県外ナンバーや外国ナンバーの車を、ブルゴーニュ地方でも見かけるようになってきました。
ドメーヌに勤務している友人達に尋ねてみると、訪問客の応対で毎日なかなか忙しいそうで、嬉しいかぎりですね。
今回は、アポイントがなくても試飲可能なドメーヌをご紹介しようと思い、ドメーヌ・ベルターニャを訪ねてみました。
グランクリュ「クロ・ド・ヴージョ」のお膝元にあり、古くはベルターニャ家の所有でしたが、80年代からはドイツでもワイナリー経営をしているレイ・シドル家が引き継いでいます。
シャンデリアの美しい試飲ルームを訪れてみると、プラスチックの衝立もなく、コロナ前と変わったことは何もなさそうです。
入口のところで、応対担当のマリー・ポールさんが、消毒用アルコールを手にプシュプシュと吹きかけてくれます。
公共的な場所では、イラストが誰にでも分かりやすいこのポスターをよく見かけますが、政府のサイトから自由にダウンロードできます。(感染防止のポスターPDFファイル)
ベルターニャでは広々としたスペースを活かして、奥の大きなテーブル周り、手前のソファと、お客様同士の接触がないよう分散させているそうです。
マリー・ポールさんも、いつもと違ってよそよそしいのですが、2メートル以上のディスタンスを崩しません。
対策が思いのほか簡素なので拍子抜けしましたが、「マスク着用」「入口で消毒」は、スーパーでもどこでも同じですね。
ヴージョ村の一級畑「クロ・ド・ラ・ペリエール」は、ドメーヌ・ベルターニャのモノポール所有です。
7月に入ってから、「ヴェレゾン」といってブドウの粒が色付いてきましたが、普段の年ならこれは8月初旬にあたる状態です。
当初は購入のみ可能という形で再スタート、6月15日から通常と変わらない形でテイスティングもできるようにして、夏のシーズンに備えたそうです。
来訪者の国籍は、例えばスイス、ドイツ、ベルギー、デンマークなど近隣諸国が多いそう。
スペインやイタリアなど南ヨーロッパからの方が元々から少ないのは、彼らの国のほうが、お天気に恵まれているイメージがあり、安くて美味しいワインがたくさんあるからでしょう。
南仏でのヴァカンスを終えて北へ戻っていく時に、奮発してケース買いをしてくれる上得意さんが多いため、今年は8月も休まずにお迎えするそうです。
COVIDから来る将来への不安感で、皆さんお財布の紐は堅いでしょう?と、マリー・ポールさんに質問してみました。
そんなことないですよとの返事で、逆に外出できないことで外食費もガソリン代もかからなかった人達が、今だいぶ解放されて楽しんでおられるそうです。
その話を聞いて、私もこれから少しずつお客様をお迎えすることになりますが、かなりホッとしました。(笑)
実際に、秋まできっと暇なんだろうなぁと思っていましたが、ヨーロッパに駐在の日本人家庭のお客様など、少しずつお問い合わせが来ています。
自分自身の健康も、お迎えする際の車やドメーヌも、態勢をしっかり整えて今年を乗り切ることができたら、きっと来年は大忙しの1年になる予感がしています。
少し早めのアドバイスやプランニングもお手伝いできますので、ぜひTutta Italiaさんまでご相談ください。
(ブルゴーニュ/花田砂丘子)