ローマ テルミニ駅近く、『小さい穴=エル ブケット』は、その名の通り、見逃してしまいそうなくらい小さなお店です。間口は狭く店内にはテーブル席が3つあるだけ。少々入りにくい雰囲気ですが勇気を持って入りましょう。
入口すぐ右に名物にしてそして唯一のメニュー『ポルケッタ』が置かれています。
ポルケッタは、子豚に塩、にんにく、ローズマリーをつめてじっくりと焼き上げた子豚の丸焼き。古代ローマ時代に収穫祭やカーニバルの時に欠かせないおもてなし料理として振舞われていたそうです。今日のポルケッタのレシピがどこで生まれたものなのかは謎に満ちていてはっきり分かりませんが、ローマ近郊の街アリッチャの人々は、我が街こそ元祖と主張しています。
アリッチャの街
イタリアでは古くから豚を食べる習慣があり、今日ポルケッタはマルケ州、ウンブリア州、トスカーナ州をはじめエミリアロマーニャ州そしてベネト州まで、イタリアの中央および北部地域の郷土料理となっており、イタリア人には馴染みの味です。
数時間ゆっくり焼き上げるポルケッタ。茶色でクリスピーな皮のおかげで中の肉は乾くことなく、柔らかさが保たれています。
『エル ブケット』のポルケッタはもちろんローマ近郊の街アリッチャから届く質の高いポルケッタ。食べ方は2通り。イタリアの特徴的な少し固めのパンに挟んでパニーノにしてもらうか、紙に乗せられたポルケッタをそのまま食べるか。計り売りなので、食べたい量だけ注文出来るのがうれしいです。
ポルケッタは目の前で切り分けてくれます。
ポルケッタをアリッチャ近くの街フラスカーティのワインと合わせるとまさに絶妙、至福のひととき。
完璧なAbbinamento(アッビナメント:イタリア語で料理とワインの相性を意味します)で、食が進みます。
小さなお店なので混雑している時は相席が当たり前。新しい客が入ってくると座っている人たちは横にずれて座れる場所を作ってくれます。ポルケッタを頬張りながら相席となった人と会話をするのも楽しいですね。
ローマ テルミニ駅の近くにありながら、そこだけ時間が止まってしまったかのようなレトロな雰囲気の空間がそこにはあります。さっと済ませたいランチや小腹の空く夕暮れ前に利用すると便利なスポット。地元でも人気でお店の前にしばしばポルケッタのパニーノを求める長い行列が出来ます。ぜひ、本物の味をお試し下さい。
【レストラン情報】
ER BUCHETTOエル ブケット
住所:Via del Viminale, 2F, 00184 Roma
電話番号:(+39)329-965-2175
(記事:かつみ)