南イタリアのバジリカータ州に位置するマテーラ。ここには、巨大な石灰岩をくり抜いて作られた、ちょっと奇妙で独特の雰囲気を持った街があります。サッシと呼ばれるこの地区は、もともと迫害を恐れたギリシャ正教の修道僧や、この地の貧しい農民が洞窟の中に住んだのが始まりと言われています。長い年月のうちに小道や階段が作られ、現在の街の姿になりました。
そんなマテーラの名物料理として、多くの人に愛されているのがチャレッダと呼ばれるパンサラダです。もともとこの一帯は乾燥した岩場が多く、質の良い硬質小麦(デュラム小麦)が採れる場所として知られています。
その小麦を使って作られたのがパーネ・ディ・マテーラと呼ばれるパン。外皮はヨーロッパのパンらしく少し固めてカリカリしていますが、中はしっとりもちもちした食感で、日本人にとっても馴染み深い食感。マテーラの家庭では1日1kg消費するのも珍しくないという食卓には欠かせない存在で、市街からも多くの人が買いに訪れるほどです。
今回ご紹介するチャレッダは、このもちもちの名物パンをたっぷりと使ったパンサラダです。ザクザクと大きめにカットしたパンにルッコラやオリーブ、ドライトマトなどを混ぜ、南イタリアの風味豊かなオリーブオイルをたっぷりと回しかけたら出来上がり。お好みで塩と粗挽きの胡椒で味を整えていただきます。
サラダと聞くとメイン料理の付け合せを想像する方もいるかもしれませんが、チャレッダに使われるパーネ・ディ・マテーラはもちもちとして食べごたえがあり、一品でもしっかりお腹がふくれます。南イタリア、特に夏場は暑くなるのでさっぱり軽く食べたいときにはピッタリの一品。もちろん、観光の合間のランチにもおすすめです。
名物のマテーラパンをたっぷりと使ったチャレッダ。マテーラならどこでも見つけることができますが、気軽に食べるなら旧市街地にあるパンビーニャがおすすめ。洞窟住居のあるサッシ地区に位置しておりアクセスもいいので、観光の合間にぜひ立ち寄ってみてください。
【レストラン情報】
パンビーニャ(Panvigna)
住所: Viale Bruno Buozzi 136, 75100, Matera
電話番号:(+39) 329-8030468
(記事:suzukikei81.com)