日本でもよく見られるサヴァランのお菓子の名前の基になっているのが、フランスの司法官で美食家のジャン アルテルム ブリア=サヴァラン(Jean Anthelme Brillat-Savarin)です。フランス革命末期に自分の首に賞金がかけられているのを知り、アメリカへ逃げた経験もあるブリア=サヴァランの名が現代まで残っているのは、彼が1825年に書いた『美味礼賛』のおかげともいえるでしょう。楽しむと同時に食事を学問として取り上げた彼の名言は的確だと思いませんか?
「普段何を食べているか言ってごらんなさい、そしてあなたがどのような人だか言って見せましょう」
<パルマの街並み>
そんな彼の名が付いたお菓子の形を真似するようにできた一品がサヴァラン ディ リーゾで、通常より時間も手間もかけて育てられた豚を熟成し、柔らかく仕上げたパルマのプロシュットに包まれたリゾットはシンプルながら贅沢な一品です。秋ならキノコ、トリュフ、春はグリンピースと、季節に合わせてリゾットのバリエーションが楽しめるのもいいですね。
このサヴァリン ディ リーゾを味わえるのが、パルミジャーノ(パルマ市住民の総称)とパルメンセ(パルマ県民の総称)で賑わう『トラットリア ヴィゴランテ』です。旅行や仕事で町を訪れた時に必ず郷土料理を食べる筆者が、レストラン選びで気を付けていること、それは地元の住民が食べに行くレストランであるかどうかということです。今回のレストランはパルマの中心街から8キロ離れた畑に囲まれた場所にありますが、私が訪れたこの日も大勢の地元民で一杯でした。そしてそのほとんどの人がサヴァリン ディ リーゾを注文していましたよ。
食事時に欠かせないワインは、レストランに置いてあるカンティーナ チェーチが作るランブルスコの赤ワイン、オテッロを選んだのですが、これがサヴァリン ディ リーゾとぴったり。この赤ワイン、実は2016年からアリタリア航空のビジネスクラスで出されているそうです。
「新しい星を発見するよりも新しい料理を発見する方が人間を幸せにするものだ」というブリア=サヴァリンの名言に「そしてその新しい料理が美味なら、私は一生幸せである」を付け加えたいぐらい、芸術そして音楽の町パルマをゆっくり観光したあとに、ぜひ味わって頂きたい一品です。
【レストラン情報】
Trattoria Vigolante(トラットリア ヴィゴランテ)
住所:Valera di Sopra, 378, 43126 PARMA
電話番号:(+39)0521-671143
(記事:LeMuse-JapanItaly)