ベネチア散歩 迷宮都市の魅力

ベネチア散歩 迷宮都市の魅力

水の都、アドリア海の女王ベネチアを彩る言葉として、もう一つ忘れてはならないのが「迷宮都市」。
道に迷って歩いてみれば、思いもよらない出会いがあることも。
想いのままにベネチア散歩を楽しみましょう

ヴェネツィアの運河のなりたち

ヴェネツィアの地図を眺めてみると、ヴェネツィアは街中に運河がはりめぐらされています。
一般的に「運河」というと、人工的に掘ったものが多いですが、 ヴェネツィアの場合は違います。

ヴェネツィアは、本来、人が住むには適さない、泥と砂できた「潟」(ラグーナ)。
その地中深く、固い層まで木の杭を打ち込み、 その上に海水に強い石を敷いて土台を作り、建物を建てていったのです。

「潟」(ラグーナ)は、水の浄化作用によって環境を維持しています。 その水の流れを堰き止めたり、無理矢理変えてしまうと、 衛生状態が悪化して疫病が流行るなどの悪影響が出てしまいます。

このため、本来の水の流れをそのまま残す必要がありましたが、 数多くの島からできている街中を、歩いて隣の島との行き来ができるよう、 橋が架けられました。

このようにしてできたヴェネツィアの運河は、 「潟」(ラグーナ)を健全に保つための天然の水路なのです。

通りの呼び名

ベネチアの街を歩いていると、壁にいろいろな名称が書かれているのが目につきます。

イタリアの都市では「通り」を表す”VIA”や”VIALE”などがよく見られますが、 ベネチアの場合は同じ「~通り」を表す言葉でも、多くの種類があります。

◇CALLE(カッレ)…一般的な道

◇FONDAMENTA(フォンダメンタ)…運河沿いの道
◇RAMO(ラーモ)…枝状に分岐している道
◇RIO TERRA(リオ・テッラ)…もともと運河だったところを埋め立てた道
◇RIVA(リーヴァ)…フォンダメンタより広く、船がつけられるような広い道

歩きながら、その違いを実際に確かめてみてはいかがでしょうか?

街を彩る路地と小運河

ベネチアの街中に張り巡らされている小運河と小路。運河は蛇行しているので、川沿いに北に向かって歩いていると思ったら、いつの間にか南に向かっているということも。迷子になったその時が、ベネチアの本当の魅力に出会える入口です。

裏道を歩いていたら素敵なショーウィンドウに出会ったり、思わぬ掘り出し物に出会えることも・・・?

参考文献:「迷宮都市ヴェネツィアを歩く」(陣内秀信著)