鉄道で旅するイタリア・フランス

イタリアを駆ける超特急「3本の矢」
年々高速化が進むイタリア鉄道「トレンイタリア」。高速専用線「アルタ・ヴェロチタ」は、北は2006年冬季オリンピックの開催地トリノから南はアマルフィ海岸の玄関サレルノまで、イタリア半島を縦断します。さらにアドリア海の女王ヴェネツィアや、イタリアのかかとに位置するレッチェ、つま先に位置するレッジョディカラブリアまで、「赤い矢」、「銀の矢」、「白い矢」の名をもつ3種類の特急列車がさっそうと駆け巡ります。人気の世界遺産都市ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ナポリももちろんカバー。定時運行性も向上し、イタリア個人旅行の強い味方に成長しつつあります。
トレンイタリア列車図鑑
FRECCIAROSSA フレッチャロッサ

フレッチャロッサ(赤い矢)の名をもつスタイリッシュな車両。トリノ~サレルノ間を結ぶ高速専用線「アルタ・ヴェロチタ」を、最高営業速度時速300kmで縦断します。主な停車駅は北からミラノ、ボローニャ、フィレンツェ、ローマ、ナポリ。南北の2大都市ミラノ~ローマ間をノンストップで結ぶ列車は、所要時間わずか2時間55分となっています。
昼・夕食の時間帯は、食堂車が連結されるのも嬉しいところです。車窓の景色を眺めながらイタリア料理を味わってみてはいかがでしょうか。また、バール車両やカートによる車内販売もあり、軽食やドリンクを購入できます。
車両は、誕生当時「世界一美しい」と絶賛されたETR500。フェラーリを手掛けたピニンファリーナによる設計です。

さらに2015年、ETR500をバージョンアップしたETR1000がデビューしました!
FRECCIARGENTO フレッチャアルジェント
「銀の矢」を意味するフレッチャアルジェント。世界的デザイナー、ジュウジアーロのデザインした車両ETR600は、曲線走行に強い振り子技術を導入しています。在来線を利用しているためにフレッチャロッサの運行できないボローニャ~ヴェネツィア間をはじめ、ローマからレッチェ、レッジョディカラブリアへの南イタリア路線を営業最高時速250kmで結んでいます。
FRECCIBIANCA フレッチャビアンカ
高速専用線「アルタ・ヴェロチタ」以外の路線を走るフレッチャビアンカ(白い矢)。人気の高いミラノ~ヴェネツィア間をはじめ、アドリア海沿岸のヴェネツィア~バーリ、ティレニア海沿岸のピサ~ローマといった景勝ルートで運行しています。速度は上の2列車に準じますが、ゆったりと車窓の景色を楽しみたい方におすすめです。
鉄道に乗ってみよう!
ヨーロッパの駅

パリ・リヨン駅にて。イタリア方面行きTGVやナイトトレインThelloはここから出発します。
ヨーロッパ大都市の駅は、多くが頭端式(行き止まり式)になっています。このため、到着時に先頭だった車両が、出発時には最後尾に変わります。
掲示板で運行状況をチェック


駅に到着したらまずチェックしてほしいのが掲示板です。電光式やディスプレイなど駅によりスタイルは異なりますが、いずれも列車番号、終点、出発時刻、出発ホームが表示されています。左の電光掲示板のように、途中停車駅を表示しているものもあります。また、「RIT./DELAY」という遅延時間を表示するスペースがあるのが面白いです。ここはなるべく空欄になっていてほしいですね。
乗車前のお約束、刻印機


列車の出発ホームを確認しつつ、駅構内のあちらこちらに設置されている打刻機にチケットを通し、
乗車日時を印字しましょう。
以前の打刻機は黄色でしたが、最近はグリーンのマシンが主流になっています。
打刻後、6時間以内に乗車する必要があります。
この手続きを忘れてしまうと、罰金の対象になりますのでくれぐれも注意しましょう。
なお日本の代理店で発券されたチケットのうち、フレッチャ、TGVなど座席指定込のチケットは刻印がいらないのでご安心ください。
指定のない、オープンの区間乗車券については刻印が必要です。
シートの向きは固定式

日本の新幹線は進行方向に向けて座席が並ぶよう、背もたれの向きが可動式になっていますが、ヨーロッパのシートの背もたれは固定されています。
そこで、乗車時は進行方向を向いていたシートが、途中「行き止まり式」ホームの駅に停車すると、後ろ向きになることがあります。
後ろ向き走行の苦手なもいらっしゃると思いますが、空いている別の席に移動しても注意を受けることは少ないので、試してみるのも一案です。(但し2等車から1等車への移動はお控えください)
違いはどこに?1等と2等



一部のローカル列車を除き、列車は1等、2等の2クラス制になっています。
大きな違いはシートアレンジ。1等は1-2、2等は2-2のシーティングが基本です。
したがって1等の方が乗客数が少なく、荷物置き場の確保が容易ですので、特に繁忙期は1等の利用がおすすめです。
またアルタ・ヴェロチタを走る列車の1等車両では、ドリンク、スナックのサービスがチケット料金に含まれます。
気になる料金も、日本のグリーン車と普通車ほどの差はありません。
さらにスペインの特急AVEやフレッチャロッサ、これからご紹介するイタロでは、1等の上の”特等”の設定があり、VIP向けのサービスを提供しています。
.italo(イタロ)について

2012年4月28日、イタリア初の民間経営による特急「イタロ」が運行を開始しました。
ボルドーレッドの車体にゴールドで「.italo」のロゴが入った車両は、圧倒的な存在感。
親しみやすさを表すウサギのマークが絶妙なバランスです。
車両設計を手掛けたのは世界的デザイナー、ジョルジェット=ジュウジアーロです。
選べる3つのアンビエンス
車両は3つのアンビエンス(クラス)に分かれ、それぞれ「クラブ」(特等)、「プリマ」(1等)、「スマート」(2等)と名づけられています。
クラブの特徴(1両、19席)
航空機のファーストクラスに相当するクラブ。
上質のイタリアを体験していただける、贅沢なアメニティとおもてなしをご用意しています。
・高級感あふれる座席と車両空間
・9インチの独立タッチスクリーンTV
・座席に電気ソケット完備
・専属乗務員による車内での常時サービス
・ローマ、ミラノ、トリノの各駅に専用ラウンジ
プリマの特徴(4両、143席)
ゆったりとしたシーティングとホスピタリティ。
快適な鉄道の旅を体験していただけます。
・独立テーブル
・座席に電気ソケット完備
・休憩エリア(Area Break)
・静かさとリラックスのためのPrima Relax車両(5号車)
…携帯電話での通話が禁止された車両です
スマートの特徴(6両、228席)
リーズナブルな料金で、新しい高速鉄道の魅力をお気軽にお楽しみいただけます。
・電源プラグ
・リクライニングシート
・自販機を備えた休憩エリア
シートは高級イタリアンブランド
座席はイタリアの高級ソファメーカー、ポルトローナ・フラウ社製。
革張りシートならではの贅沢な座り心地をお楽しみいただけます。
ワンランク上のウェルカムドリンク


クラブ、プリマではウェルカムドリンクとスナックのサービスがチケット料金に含まれています。
このサービスもただものではありません。
ドライトマトとオリーブオイルが香るフォッカッチャや、トリノの名店「バラッティ」のキャンディなど、口に入れた瞬間、上質さを感じられる品を吟味しています。
フレッシュなスチュワード、スチュワーデスが好みの品をサーブしてくれます。
旅のおともに「イタリア式駅弁」はいかが?

さらにユニークなのは、日本の駅弁からインスピレーションを受けたという「イタロボックス」。
スローフード発祥の地、トリノの高級スーパー「イータリー」から調達した食材をふんだんに使ったケータリングサービスです。
座席にいながら一流店の味を楽しめ、リクエストに応じて温めてくれるのも嬉しいところです。
ランチ、ディナーの時間帯に販売します。
搭載数に限りがありますので、乗務員に在庫をおたずねください。
イタリアンモダンな待合室「カーザ・イタロ」


各発着駅に設置された待合室「カーザ・イタロ」では、チケット購入や無料Wi-Fiサービスを利用できます。
近未来的な空間は、2015年ミラノ万博を指揮したステファノ=ボエリの設計です。
運行ルートと主な発着駅は下記のとおりです。
・トリノ(ポルタ・スーザ駅)
・ミラノ(中央駅&ロゴレード駅)
・パドヴァ(中央駅)
・ヴェネツィア(サンタ・ルチア駅&メストレ駅)
・ボローニャ(中央駅)
・フィレンツェ(サンタ・マリア・ノヴェッラ駅)
・ローマ(テルミニ駅&ティブルティーナ駅)
・ナポリ(中央駅&アフラゴラ駅)
・サレルノ(中央駅)

ローマ ティブルティーナ駅

イタロのみならず、トレンイタリアの新たな高速鉄道拠点として、モダンな駅舎に生まれ変わりつつあるティブルティーナ駅。
テルミニ駅から地下鉄B線で4駅です。
構内は広く、地下鉄駅から地上駅までの移動に時間がかかりますので、早め早めに移動しましょう。
ローマ オスティエンセ駅

オスティエンセ駅は、ティブルティーナに比べローカル色が濃いのですが、
駅舎を一歩出ると「イータリー」のイタリア国内最大店舗が隣接しています!
ちょっと足を延ばして、グルメな食材のショッピングを楽しんでみてはいかがでしょうか?
なお、ローマ以南のナポリ、サレルノが終点となるイタロは、ティブルティーナ駅に停車後、オスティエンセ駅を通過するのでご注意ください。
ミラノ ポルタ・ガリバルディ駅

ミラノのポルタ・ガリバルディ駅は、中央駅からグリーンの地下鉄2号線で2駅です。
ホームにはエスカレーターやエレベーターがほとんどないので、荷物を持っての移動時は、時間に余裕をもって行動しましょう。
ヴェネツィア サンタ・ルチア駅

アドリア海に浮かぶ水の都ヴェネツィア。イタリア本土からリベルタ橋を渡ったところに位置するのがサンタ・ルチア駅です。
イタリア有数の観光地らしく、イタロに加え、ローマ、フィレンツェ方面からやってくるフレッチャアルジェント、ミラノとつながるフレッチャビアンカ、ウィーン・西駅へ向かう夜行寝台ヴィエンナ・エクスプレス、パリ・リヨン駅へ向かうナイトトレインThello、そして憧れのオリエント急行など、多種多様な列車が行きかいます。
トリノ ポルタ・スーザ駅

北イタリアの玄関口として、モダンな駅舎が完成したポルタ・スーザ。
イタロを始め、フランスからのTGV、ミラノ、ローマ、ナポリへと向かうトレンイタリアのフレッチャロッサなど、さまざまな高速鉄道が行き来します。
さあ、新しいイタリア鉄道旅行へ!

使用車両はフランスの名門、アルストム社の最新機AGV。
日本の新幹線と同じ動力分散方式を採用し、車両重量ならびに消費電力が削減されました。
環境にやさしく、営業最高時速は300kmを達成。
まさに「鉄道を超えた鉄道」イタロ。
初めて体験する旅に、出発してみてはいかがでしょうか。
トレンイタリア&イタロ 乗車券・指定券 料金表
ES*(ユーロスター・イタリア利用)またはイタロ 乗車券+座席指定券包括運賃 | ||||
---|---|---|---|---|
出発駅 | 目的地 | 経由 | 1等料金 | 2等料金 |
ローマ・テルミニ駅、 ティブルティーナ駅発 Roma Termini & Tiburtina | フィレンツェSMN駅 | *** | 12,000 | 9,000 |
ヴェネツィア・サンタルチア駅 | フィレンツェ | 19,400 | 14,800 | |
ミラノ中央駅 | フィレンツェ | 20,100 | 15,500 | |
ナポリ中央駅 | *** | 11,100 | 8,700 | |
ボローニャ駅 | *** | 14,800 | 11,100 | |
ピサ中央駅 | *** | 13,000 | 10,000 | |
バーリ中央駅 | *** | 13,900 | 10,900 | |
ブリンディシ | *** | 16,800 | 12,400 | |
レッチェ中央駅 | *** | 16,800 | 12,400 | |
フィレンツェSMN駅発 Firenze SMN | ミラノ中央駅 | ボローニャ | 13,300 | 10,200 |
ヴェネツィア・サンタルチア駅 | ボローニャ | 11,800 | 9,400 | |
ナポリ中央駅 | ローマ | 18,600 | 13,100 | |
ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅 | ボローニャ | 9,600 | 8,000 | |
ボローニャ | *** | 8,100 | 6,000 | |
ミラノ中央駅、 ポルタ・ガリバルディ駅発 Milano Centrale & Porta Garibaldi | ヴェネツィア・サンタルチア駅 | 10,900 | 8,700 | |
ナポリ中央駅 | ローマ | 23,700 | 17,500 | |
ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅 | *** | 7,400 | 5,700 | |
ボローニャ | *** | 11,800 | 8,700 | |
トリノ | 9,400 | 6,900 | ||
ジェノヴァ・ピアッツァプリンチペ駅 | *** | 7,500 | 6,000 | |
コモ * | *** | 4,600 | 4,100 | |
バーリ | 23,900 | 18,800 | ||
* ミラノ中央駅~ジェノヴァ間はIC(インターシティ)、ミラノ中央駅~コモ間はチューリッヒ方面行きEC(ユーロシティ)となります。 | ||||
ヴェネツィア・サンタルチア発 Venezia S.Lucia | ヴェローナ・ポルタヌオーヴァ駅 | *** | 8,000 | 6,000 |
※発券時に列車・座席指定が必要になります。ご予約時にご希望の日時・列車をご指定下さい ※ご予約後の時間変更ができないタイプのチケットです ※席番号の指定はお受けいたしかねます ※窓側・通路側などのリクエストはお受けできますがご希望に沿えない場合もございます ※区間乗車券のみ(座席指定無し)の場合、上記と運賃体系が異なります。別途お問合せ下さい |
TGV・タリス・ユーロスター 料金
TGV・タリス・ユーロスター 乗車券+座席指定券包括運賃 | ||||
---|---|---|---|---|
出発駅 | 目的地 | 経由 | 1等料金 | 2等料金 |
パリ・モンパルナス駅発 Paris Montparnasse | モンサンミッシェル (レンヌからバス) | レンヌ | 23,300 | 18,000 |
ナント | *** | 23,000 | 17,000 | |
パリ・ノール駅発 Paris Gare de Nord | ブリュッセル | *** | 23,800 | 17,300 |
ロンドン | *** | 45,300 | 36,700 | |
パリ・エスト駅発 Paris Gare de l’Est | ストラスブール | *** | 25,000 | 18,000 |
ランス | *** | 12,500 | 9,500 | |
エペルネー | *** | 7,000 | 5,000 | |
パリ・リヨン駅発 Paris Gare de Lyon | リヨン | *** | 23,100 | 17,800 |
ニース | *** | 33,000 | 23,100 | |
リヨン・パールデュー駅発 Gare de Lyon Part-Dieu | ニース | *** | 21,100 | 15,900 |
ニース・ヴィル駅発 Gare de Nice-Ville | マルセイユ | *** | 12,000 | 8,500 |