ピスタチオと言えば、日本ではアーモンドやピーナッツなどと同じように塩味のついたおつまみをよく目にしますが、それだけではなく、お菓子の飾りつけに使ったり、クリームやペーストにしたり、パスタに練りこんだりと、様々な形で食されます。
世界中で生産されているピスタチオですが、「ピスタチオの町」として知られるシチリア島ブロンテのピスタチオは別格中の別格。ミネラルたっぷりのエトナ山麓の大地で育つピスタチオは風味が豊かで、その艶のある鮮やかな緑色から「緑の宝石」とも呼ばれます。収穫が2年に一度のため、希少価値が高いことにも由来します。
そんなピスタチオの町ブロンテで、毎年秋に開かれるのが「ピスタチオ祭り」。例年9月末~10月はじめの週末、2週間連続で開催されます。
広場やメインストリートにはたくさんのブースが並び、ご飯系からスイーツ系までピスタチオを使った様々なグルメが堪能できます。
数々のピスタチオ製品も並びますが、クッキーなどのお菓子だけでなく、チーズやパン、ソーセージやサラミといった食材に至るまでピスタチオ入りのピスタチオづくし。生のピスタチオやペースト、クリームなどは瓶詰や真空パックでも売られているので日本へのお土産にもできます。
グルメの他にも、シチリアデザインのお土産や伝統工芸品が並んでいたり、夜にはライブが行われたり、朝から晩まで楽しめるイベントとなっています。
さて、第30回ピスタチオ祭りで提供されたメニューをいくつかご紹介しましょう。まずはご飯系から。
シチリアのライスコロッケ「アランチーノ」(写真右)と「スフォリア」と呼ばれるお惣菜パン(写真左)。どちらも中にはピスタチオペーストがたっぷりです。
アランチーノはやさしい味付けで、揚げ物なのにいくらでも食べられるほど。そしてスフォリアは、一緒に入っているチーズとハムの塩気にほんのり甘みのあるピスタチオペーストがよく合います。
こちらは自然の緑色が美しい、ピスタチオを練りこんだ生パスタです。作り立てでそのままでも食べられるほど新鮮な生パスタ。午後になると、帰る前にお土産に買って帰るというお客さんで行列ができていました。
続いてスイーツ系です。
まず、これを食べずして帰ることはできない、ピスタチオのジェラート。よく完全な緑色のものを目にしますが、本物のブロンテ産ピスタチオを使ったジェラートは緑色にはならず、写真のようなベージュがかった自然の緑になるそうです。このジェラートを食べに行くだけでも、ブロンテへ行く価値がある!と断言できる美味しさです。
こちらは「フィッレッタ」と呼ばれる、ブロンテの定番焼き菓子です。薄いスポンジケーキのようなもので、日本人にとってもカステラのようなどこか懐かしい味。生地にもピスタチオが練りこんであります。
シチリアに来たからには外せない、郷土菓子のカンノーロ。こんなにもピスタチオづくしのカンノーロはなかなかお目にかかれません。サクサクの生地にピスタチオクリームがたっぷり詰まっているのですが、意外にもあっさりしていてぺろりと食べられます。
世界最高峰のピスタチオを使ったグルメを一挙に堪能できるのはここだけ。第31回ピスタチオ祭りへ向けて、ブロンテを含めたシチリア旅行を今から計画してみてはいかがでしょうか。